こつんと踵に何か当たった。見るとバスケットボールだった。


周りを見てもバスケ部の人が見当たらない。体育館の中から転がってきたのかもしれない。


「ちょっと返してくるね」


実咲ちゃんに声をかけ、水飲み場を過ぎる。体育館の扉は開けっ放しになっていた。


「あのー」


体育館は凄い熱気で、もわっとする。


手前にいるのは男子ばっかり。奥のコートで女バスが練習してる。


渡しづらい。


困っていると、ジャージを着た男子が、わたしに気がついて


「あー。ごめん」


と、駆け寄ってくれた。