「高塚と花火大会に行くと、花火が全然見れないことがわかったよ」


花火大会の帰り、家まで送ってもらった。お礼を言うと、隼人くんは冗談混じりにそう言った。


いつか行くことがあれば、そのときは、花火に集中して見れるといいね。


口に出さなかったけど、そう思った。それはお互いが、そのときの今に夢中で、とても幸せだということだから。


そうあってほしい。


その前に、花火大会に一緒に行くことはもうない。そんな気もした。


「市ノ瀬に、ちゃんと気持ち伝えなよ」


「あ、でも……」


「より戻したいんでしょ?」


「うん」


「大丈夫だよ。あいつ、単純だから」


クスリと笑えた。