「隼人くん、ごめんなさい。わたし、やっぱり市ノ瀬くんが好き」


勢いに任せて言ったせいか、隼人くんは驚いたように目を見開き、それから気が抜けたみたいに柔らかい顔つきに変わった。


「考えたの、ずっと。好きな人が誰なのかって。連絡を取らない間、やっぱり心の中で思ってたの、市ノ瀬くんだった」


「……」


「ごめんね。気を持たせるようなこと言ってごめんね。でも隼人くんのこと、本当に好きだった。好きなのに避けて、ずっと後悔してたし。忘れなきゃいけないのに出来なくて……ずっとずっと大好きだったの。だから……ストーカーみたいだけど、隼人くんが困ってたら助けたかったし、遠くからでいいから見守っていたかった。恋、してたよ?本当に好きでどうしようもなかった」


「……」


「だけど、一緒にいれる喜びとか安心する気持ちとか、そういうの教えてくれたのは、市ノ瀬くんなんだ」


言い切ると、涙が淵を越えた。慌てて下瞼をぬぐって隼人くんを見つめた。