「ううん。本当は怒って周りが見えなくなった自分が嫌だったの。だから、バカにしてきた男子と関わるのをやめたの。
そのとき話しかけてくる男子って、バカにしてくる子ばかりだったから、そういう子と関わらなくなったら、自然と男子と話す機会もなくなっちゃって……それで、そういうのが普通になっちゃったんだ」


意味、わかんないって思われたかなって言ってから気付いた。理解できなくても仕方ない。


市ノ瀬くんみたいに、人当たりのいい人から見たら、そういうものなのかもしれないし。


「隼人は違かったの?」


うん、と頷いた。


「隼人くんは違かったの。そのとき同じクラスだったけど、わたしのこと良くも悪くも思ってないというか、興味なかったのかもしれないけど、他の男子みたいに人の悪口を言って楽しんだりしないし、大人っぽくてきれいな感じの子だったから。
……あと、先生に怒られていたときにも、わたしの気持ちをわかってくれるようなことを言ってくれたから、すごく嬉しかったし、それですごく救われた。
だから、特別だった」


「そうか」と、息を吐いて顔をあげた。