「あのね。えっと……わたし、小学校のときに、名前のことで男子にからかわれてたの。それで、バカにされるのが悔しかったから、言わないでっていつも男子を追いかけて言い返したりしてたんだ。

それで、あのときもそうだった。いつもみたいに悪口言われて……わたし、追いかけるのに夢中になって気が付かなかったんだけど、廊下に座っていた関係ない男子の足を踏んで怪我させちゃったの。

それで急に先生に呼び出されて、わたしが犯人だみたいに言われて凄くびっくりした。謝らなかった理由を訊かれて、足を踏んだの気が付かなかったって言っても信じてくれなくて。その子にも痛い思いさせて申し訳なくて……。

だから、なんで気が付かなかったんだろうって、すごく自分を責めて……それで、それから嫌になっちゃったの。怒ることが」


こんな気持ちを人に言うの初めてだった。友達にも言ったことがなかったから。