というか、わたし、さっきから考えてるだけで、気になること、ちゃんと口に出せてない。
『なんでも聞いて』
『俺のことは信じてほしいから』
そう言ってくれたのにな。
それって、市ノ瀬くんを信じていないってことになる。
逆だったら、悲しいことかもしれない。
「あ……あの」
「ん?」
「この前するって言った話、してなかった」
切り出したのは突然にも関わらず、市ノ瀬くんは驚いたり聞き返す様子もなく
「うん」
と、小さく頷いた。
「気にはしてたよ」と言うから、なんの話かは覚えていてくれたみたいだった。
少しほっとしたけど、ドキドキとした心臓音がわたしを緊張させる。
「別に大した話でもないんだけど」
「でも聞きたいよ」と優しく言った。
改めて話すと決意すると、本当に大したことのない話なのに、今まで勿体ぶっていたみたいで話す前から恥ずかしくもなった。