まるで存在なんかないような顔でそのまま歩いていく。


急に態度を変えられた。


教室に行ってみても、なぜか橋本が出てきて断られたり、明らかに避けられていた。


なんでだと思っていた頃、橋本に声をかけられた。


『江野、ちょっと話あるから顔貸しな』


呼び出されて、あまりいい気分はしなかった。きっと高塚のことだろうと、話は読めていたからだ。


『なに?』


『もうさ高塚追いかけ回すのやめてくれる?もう別れたんだし。大体あんたが振ったんじゃん』


『高塚がそう言ってたの?』


『まあそんな感じ』と、腕組みをして溜め息をついた。


『そういうの高塚から直接聞きたいけど』


『だから、高塚が江野と話したくないって言ってるから、あたしが代わりに言ってるんじゃん。お願いだから、そっとしておいてあげてよ。あの子なりに考えていることあるんだから。わかるでしょ?男子苦手なの。一度ああなったら無理だよ。江野とは違うんだよ』