学校の帰り道、『高塚と別れたって本当?』と、クラスメイトの門馬に訊かれた。


『別れたけどなんで?』


『彩子に訊いた』


別に不思議じゃなかった。高塚と門馬の当時の彼女、橋本彩子は親友だったから、きっとなんでも話してるんだろうって察しはついた。


『なんで別れたんだよ?』と、肘で小突く。


『別に』


『別にじゃねーよ。言えよ!』


『俺と付き合ってから高塚の様子がおかしくてさ』


『へえ』


『なんか無理させてる気がして。それだけ。一回別れて、ちゃんと好きになってもらいたかったし、高塚の為にもいいと思ったんだ』


『隼人のそういう気持ち知ってんの?』


『伝えたいことは伝えてる』


『でもさあ、あれだよな。高塚の為って何?俺、それ言われたら嫌だな。ひとりで付き合ってんのって感じじゃん』


『……』