待ち合わせの場所にまた戻って来て、
『じゃあ、隼人くん。ばいばい』
『うん。じゃあ明日学校でね』
と、何かの約束をするわけじゃないのに、わざわざ言ったのは、これからも変わらず友達でいる為だったんだと思う。
うん、と頷いた。
『やっぱり、別れなくて良かったんじゃないか?』
そんな言葉がよぎるけど、そのときには彼女はもう俺に背中を向けて歩いてた。
振り返ることもなく、前を見て。
少し時間を置いてまた前みたいに自然に話せるようになったらもう一度気持ちを伝えよう。
きっとまた戻れるって、言い聞かせた。
そんな自信の根拠は、俺以外の男子と話すところを見かけないから。
ただそれだけ。中二の頃とあまり成長していなかったんだ。本当は。
今の高塚がずっとそのままなわけがないって、知っていたら、こんなことしなかったのだと思う。
また普通に話せるようになって、付き合おうって言ったら付き合える。
人との繋がりってそんな単純なものじゃないって、すぐに俺は思い知らされた。