俺は猫山インテリア建設の部長をしている。
「平山部長、これを確認してください。」
 こいつ高波理沙は、3ヶ月前にここへ働くことになった。
「この辺、もうちょっと細かく設計しろ」
「わ、わかりました…。」
 一応、仕事はちゃんとしてるみたいで注意することはあんまりない。でも…、
「そういえば、そろそろ彼氏は出来たか」
「…」
「出来てないのか?」
「ぶ、部長には関係のないことです!」
 何故だか、こいつにちょっかいするのは楽しい。怒った顔も可愛いし、面白い。
「部長こそ、彼女でもつくったらどうですか?」
 彼女はムカついたのか俺に言い返してきた。
「いねーよ。っていうか、つくらねぇし」
 そうだ。彼女なんかいたら面倒くさいだろ。
「へぇ~、そうなんですか。結局、私と一緒じゃないですか!」
 お前はつくらねえよりも告白されてねえだろ。しかも元々、男性が嫌いなんだろ。
「そうだな、一緒だな…。」
「部長!私の理沙に手を出さないでください。」
 その時、一緒に働いてる山本星蘭がやきもちを妬いて俺に言った。
「別におまえのものじゃ、ねえだろ」
「そうですけど、部長だけには渡しません。嫌な予感がします。」
 コイツは何様だ。星蘭はこの会社猫山会社の山本社長さんの妹である。
「人を怪しい人間みたいに言うな!でも、それじゃあ、もっと高波に近寄ろうかな~」
 俺は冗談でそう言ったら…、
「へ、変なこと言わないでください!」
 高波は顔を真っ赤にして怒っていた。

「確かに良いかもね~」
 高波がいきなり山本社長をみてそう言った。俺はそう言った高波が少しイライラした。理由はわからない。だからあいつの誕生日会でも、
『確かに良いかもね~』
 あの言葉が気になって楽しく出来なかった。俺はついにビールを15本、飲んでいた。さすがにいくら俺でも、酔っぱらってしまう。
「ん~、あれ?」
 俺はいつの間にか自分の部屋で眠っていた。高波から聞くと昨日、俺は眠ってしまい、坂井が俺を送ってくれたそうだ。すると何故か高波は…、
「この、変態男!!」
 いきなり高波が怒鳴ってきた。俺は訳のわからずにいた。

「お疲れさまでした~」
 高波と山本がそろそろ帰ると言って会社を出て行った。俺はまだ終わんなそうだから坂井と一緒にコンビニへと向かった。すると丁度、高波と山本の後ろ姿が見えた。俺達も外へ出ようとしたその時…。
 ガタッ、ガタッ…。
 上から何だか音がした。上を見ると猫山会社の看板を直してる作業員がいた。すると、作業員が計算ミスのせいか看板が落ちてきた。下を見ると高波と山本が!!
「危ない!!」
 俺はすぐさま助けようとした。すると坂井も気づいたのか、坂井も助けようとしていた。
「痛たっ…、な、何が起きたの?!」
 俺達は何とか間に合ったみたいで皆、怪我はなかった。
「山本さん、お怪我はありませんか?」
 坂井は山本を心配しながら言った。でも俺は…、
「もう少し注意しろよ!」
「す、すいません…。」
 俺は高波に叱った。本当は坂井みたいに優しい言葉、言うところなんだが俺にはそんな恥ずかしい言葉は言えず、高波を叱った。でもマジ心臓止まるかと思った。だって俺は、本当に波が死んだら俺は…、俺は…、そう思いながら心の中で言ってたら、俺はいつの間にか…、
「あの、平山部長?」
「あんまり、心配させんな。心臓止まるかと思ったぞ…。」
 俺はいつの間にか、高波を抱きしめていて心の中で思ってたことが口に出してしまった。でも、この方が正解かもな…、
「あの…、平山部長…、そろそろ…、」
 俺は正気に戻り一気に恥ずかしくなった。確かにそうだ、抱きしめたのは女性にとって嬉しいけど、場所が…、
「ああ、悪い」
 俺は高波を抱きしめてた手を離し会社へ戻ろうとした。でも何故だか高波は少し寂しそうな顔をしていた。だから…、
『ポンポン』
 俺は高波の頭を優しくして、会社へと戻った。

「坂井は良いよな~、あんな堂々として山本に近づいて…」
「えっ!?いや…、俺は、少しでも山本さんに男と認めて欲しくて…」
 俺は少しだけ坂井の事を羨ましいと思ってしまった。坂井は本当に山本の事が好きで頑張っている。でも、俺は…。
「きっと、山本はおまえのこと認めてくれるよ。」
「ほ、本当ですか!?」
 坂井は嬉しそうな顔をしていた。俺は正直、好きという気持ちがわからない。今まで良い女がいたら近づき会話をしたりホテルに行ったりしていた(仕事の話をしてベッドは別々)。俺もそろそろ恋愛したいとは思っている。でも…、
「部長は好きな人いないんですか?」
「ブッーーー」
 俺は飲んでたコーヒーをあまりの驚きに吹いてしまった。
「ぶ、部長、大丈夫ですか?」
「ゲホッ、ゲホッ、…だ…、大丈夫」
 確かに好きな人は……、いなかったな~。興味があった女性はいたけどそこまで本気ではなかった。
「好きな人…、好きな人…、」
そう考えていたら1人だけ浮かんできた。
『平山部長。』
「えっ…、な、何であいつが…?」
「部長?」
「あっ、いや、好きな人は…、いないな」
「そうなんなですか…。まあ、もしできたら教えてくださいよ!」
「ああ、わかった。」

 翌日…。
 何で、あいつが浮かび上がってきたんだ。俺の頭に浮かんできたのは…、
『高波理沙』
 もしかして俺、あいつのこと、嫌々、そんな馬鹿な…。でも…。
 あいつを見てると安心するし、あの時、看板が落ちたときも、マジで心臓止まるかと思っていつの間にか抱きしめていて、しかも…、あの時…、
『あんまり心配せんな。』
 あの言葉の後、何故か言葉には出さなかったけど心の中で一言、つぶやいた言葉が…、
『俺、おまえのこと好きなんだからよ。』
 どうしよう…、俺どうしちまったんだよー。嫌々、有り得ない。でも…、
「平山部長?」
「うわぁー」
俺は驚きのあまり、叫んでしまった。声をかけてきたのはさっきまで考えてた高波だった。
「どうされたんですか?顔、赤いですよ」
 高波は熱を確認する為なのか俺のおでこに高波の手があてられた。
「ん~、熱はないみたいですね!良かったです。」
 高波はそう言って、確認の書類を出し俺に見せてきた。俺はOKを出し高波は自分の席へ戻った。
 俺、本気にどうしたんだ。俺は結局、一日中、落ち着かず仕事があんまりはかどらなかった…。