一週間を掛けた部活体験が終わって、私は一枚の紙を先生に提出。


 「音楽部へ入部します。」


 赤い新村の印を押された3年間を決める紙でした。



 その日、部活結成日。

 ずっと気になってた。1週間顧問がいないこと。

 でも、音楽部なんだから顧問は音楽担当の山寺菜々子先生なんだなって分かってた。

 穏やかな先生だったから、って私は油断してた。



 音楽部の目標を書いた紙を持って山寺先生は現れた。 


 「今年叶えるのは『全国大会入賞』です!」



 とても通る声。でもそんな高い目標、夢のままだろうと思った。


 次は2、3年生による部員紹介。

 名前覚えるのは苦手だから今のうちに暗記しなきゃと思ってしっかり聞いてた。

 2分後、


 「お前ほんとふざけんな!帰れ!」


 優しいと思われた山寺先生の罵声を聞くと思わずに。




 ヴィオラの大人しそうな先輩が話し始めた。

 「2年‥佐々木彩未です。あんまり上手じゃないので、 役に立つことはむずかし‥‥」


 バン!!!



 先輩の声を遮るように響いたのは、山寺先生が拳を机に当てた音だった。


「お前‥ほんと何なんだよ!ふざけんな!
 全国大会目指してるなかで、一年生がいるなかで、お前がいたら同級生も着いていく一年生も不安なんだよ!帰れ!」


 今までに聞いたことのないほど大きな声。

 それを優しかった山寺先生が発する事の衝撃。

 合格できたことよりも大きかったこの衝撃。


 佐々木先輩は泣いて謝った。
 また自己紹介は続いた。

 この音楽部でいる不安と、来年はこのNGワードを口が裂けても発さないという覚悟を感じていた。