-Ⅳ.Other-


 あれから1度も、彼女が家を出たきり帰らな

いということもなく、普段と変わらない同棲生

活を続けて1年が経った。喧嘩もなく不自由の

ない生活を送っていた。あのときの話しも、お

互いしていない。


 彼女に怪しい行動もなく、僕もだんだん気に

ならなくなってきていた。やっぱりなんでもな

かったんだ、考えすぎていたんだ。と僕はホッ

とした。いつしか不安よりも、朝目覚めて隣に

彼女がいること。一緒に笑いあっていること。

一緒に映画を見て感動して涙ぐんでいること。

なにより彼女が側にいること。

1つ1つの幸せのほうが断然大きかった。



 未だ聞けていない彼女の気持ちは慎重に、聞

くタイミングを待っている。誓いも兼ねて。