「や、やぁ」
駿が珍しく緊張している様子で高塚未羽に話しかける。
彼女はスッと顔を上げて駿を見つめる。
駿は固まる。
「天、見て。あの駿が固まってる。」
梨華が面白そうに言う。
クラスの女子が駿くん〜と嫉妬の目で見ている。
「…あなた…」
そう言って高塚未羽は駿に顔を近づける。
クラスの女子が、男子もが叫んでいる。
気がつけば集まっていた他クラス生徒、教師までもがその光景を拒否するように発狂している。
高塚未羽はキスするくらい近づいて一言。
「…違う」
ボソッと言って駿から離れる。
「な、え、今、キスした?」
俺は梨華に聞く。
「…見えなかったし、なんか言ったみたいだけど周りの人らがうるさすぎて聞こえなかった…」
ポカーンと俺らは口を開けていた。
すると、高塚未羽がこちらを向いた。
目があった。
「!」
彼女は少し笑って
み つ け た
と口を動かした。