「日野くーん!あたしと芽衣子はここだよー!」
わたしの声は完全に無視をして、桃花はご機嫌に手をブンブンと振っている。
「わたしたちの場所伝えたって借り物持ってるとは限らないよ?」
「えー、でも好きな人なら連れてってほしいじゃん?」
桃花の中では碧人くんが引いた借り物は好きな人だと確信しているらしい。
さすがにそんなわけないだろうと笑ってしまうけど。
「はいはい、わかりましーー」
「二宮!」
ーードキン
………え。
突然背後からわたしの名前が聞こえ、弾かれるように振り返ると、
「碧人、くん?」
少し呼吸の乱れた碧人くんが立っていた。