「2人の仲を取り持つために企画した遊園地デートも、碧人くんにはお見通しだったね。

あのとき、観覧車で碧人くんからキスされてびっくりしたなぁ。おでこだったけど。

どうせなら口でもよかったのに、なんて。

勿体無いことしたかな」


もう、叶うことのないキミとのキス。

たった数分間の出来事だったけれど、人生で1番幸せな瞬間だった。


「その後、碧人くんは過去の記憶を思い出した反動で、

記憶を失っていたときの記憶を忘れちゃって……。

わたしと過ごした日々も、碧人くんの中では全部無かったことになってるんだよね。

あんなに一緒に居たのに、なんで忘れちゃうかなぁ……」


キミと歩む未来は存在しないんだと突きつけられて、心が潰れてしまいそうだった。

今だって、そう。

キミが隣に居ないのが寂しくてたまらない。

現実を受け止めきれなくて、強引に終わらせようとここまで来たから。