鞄の中から、1冊のノートを取り出した。

部屋から持って来た作戦ノートだ。

わたしと碧人くんを繋ぐ思い出のひとつでもある。


「ふぅ……」


作戦ノートを抱えて、深く息を吐いた。

本当に今日で碧人くんとの恋に終止符を打つのだと思うと、急に実感が湧いてきた。


まだ好きでいたい。

ずっと、ずっと、最後まで碧人くんを好きでいたいよ。

だけどダメなの。

想うだけなら許されるとか、甘い考えはもう捨てた。


碧人くんが未来を見据えて生きていくなら、わたしも前を向きたい。

碧人くんの背中を押してきた本人が立ち止まったままじゃ、情けないよね。


伝えられなかった想いを、今ここで打ち明ける。

わたしがどれほど碧人くんが好きか。


誰もいない展望台で、息を吸った。