………え?

目の前に出されたのは小さな缶ジュースだった。


「えーっと……」


なに、これ。

いつも飲んでた?わたしが?

碧人の前でグレープフルーツジュースを飲んだこと、ないのに………。


「どうした?体育祭のときは喜んで飲んでただろ?」

「体育、祭……?」


ードクン。

重苦しい心臓の音が跳ねた。

心当たりのない記憶に胸の奥がざわついて気持ちが悪い。


わたしではないということは、誰かと間違えていることになる。

いったい誰?


「このジュース好きなのって瑠璃じゃなかったっけ?」

「……っと…」

「あれ、じゃあこれをよく飲んでたヤツって…………」


「ううん、好きだよ!」