「先生知ってた?」

「なにを」


花火大会の話だとわかっているので、僕はパソコンから目を離さずに返事をする。

もうすぐ始まる新学期。受験対策の授業のために、たくさんすることがあった。


「ここの屋上から花火見えるねんで」

「へぇ、いいなぁ」

「屋上って生徒も先生も自由にはいれるねんで」

「それはそうやなぁ」

生返事ばかりしていると、向こう側で伊東がたちあがった。


「一生のお願い!屋上いこや!」

「・・・だめ」


少し返事が遅れたのは、僕自身が見たいと思ってしまったからだ。