しばらく、放心状態だった。 何回も手紙を読み返す。 僕は、はじかれたように研究室を飛び出した。 クリスマスのときは捕まえられなかった。同じ思いをするのはもう嫌だ。 僕は階段を駆け下りる。もどかしくて最後の八段は思いっきり飛び降りる。 そこから一気に校門までダッシュする。 伊東の姿は校門の近くにはない。 ここであきらめたら、もう会えない。二度と会えなくなるかもしれない。 僕は、伊東のいつも帰る方向へダッシュした。