ほんの一瞬だけ。私は小さい頃を思い出した。
「大きくなったら、魔法使いになりたいの!」
それは休日にみたアニメとか友達の影響でもあったのかもしれない。それでも私は、瞳を輝かせ幼稚園の七夕会で夜空の星に祈った。純粋だったあの頃。魔法使いなんて存在しないのに、その祈りは今の私よりずっと切実かつ美しいものだ。
でもそれは恋をしるまでだった。
その時は、まだ恋なんて知らない子だった。恋なんて、ドラマで大人がグダグダと汚れた愛の話を見ていたけど、正直よくわからなかった。恋なんて夢と関わりなんてないと心のどこかで思った。それは、まだ小さかったから許された物語なのかもしれない。ほんとに羨ましい…。