「貸せよ。」
見かねたのか日向が無理矢理コインを入れて、操作した。
ぶっきらぼうだけど、それが日向なりの優しさなのだ。
ちょっと可愛く見えた。
ゲームは得意なのか、手馴れた手つきでクレーンをクマさんの頭をガッチリホールドする。
よくあるのが、この後クレーンが緩くて落とすこと。
いつもそれで泣く泣くコインをつぎ込む私は、最後まで凝視していた。
ゴトンッ
「わー、すごい!すごい!1発だよ!私なんて1000円も使っちゃったのに。」
あっという間にゲットする日向に、白倉くんは唖然としていた。
飛ぶように跳ねて喜ぶ歩花ちゃんを見て、兄の顔が一瞬緩む。
歩花ちゃんの手元には欲しがっていたピンク色のクマさん。
大事にぎゅっと抱きしめている。
「見直したよ、ゲーム得意なんだね。」
「まあな。家にいる時は殆どゲームしてるから。」
それで目が悪くならないのが不思議。
サッカーをやっているお陰かな?
それともコンタクト?
まだ分からないことばかりだが、また一つ日向の知識が増えた。
・妹が弱点。
・日向はゲームが得意。 New!