一方で私は、力が一気に抜けて立っていられなくなった。
よれよれーっと倒れる私を白倉くんは優しく受け止めた。
「初めてのキスだったのに…。」
涙目で呟くと
「ラッキー!陽菜の初めてもーらい♪」
と調子に乗っている。
「ふざけないで!私を呼び出したのってこれが目的?ならもう済んだよね?」
部屋を出ようとドアの方へ行こうとすると、
「待って。まだ用件は終わってない。
思えば最近陽菜に苦労させてばっかだと俺なりに反省してさ、今度の土曜日に2人で映画観に行こうと思って。これチケット。」
はい、と渡されたチケットには私が前から観たいと思っておた感動ラブコメのタイトルが書かれていた。
急にどうかしたのかと思った。
だってあんな俺様で自己中心的だったのに、私のことを心配するなんて。
「これすごく評判が良い映画だよね!何でこれ観ようと思ったの?興味なさそうなのに。」
「陽菜がきっと観たいだろうなーって。男の勘。」