「てっ、手どけてよ!」

私は頭の上の手をどかそうとすると、
「やーだね♪耳真っ赤だよ?熱でもあるのかなー?」

と悪戯に微笑み、今度はガッシリとした腕に包まれた。

「何すんのよ!」
恥ずかしくて顔を見られない。

「何って…ただ愛おしいなって思った。お前は黙って俺に服従してればいいんだよ。」
私のおでこをコツンと鳴らした。

何か上手く丸め込まれたけど、理由が全く納得出来ないんですけどー!?

「陽菜っていちいち反応が大袈裟で、つい意地悪な事をしたくなるんだよ。男の本能みたいな。」

今、軽々と名前で呼ばれた…。
どうしてさらっと言えちゃうのかね。
この男は。



それはそうと…白倉くんの吐息がかかってきて色々とヤバいかも。


顔が近い。身体も密着している。


ドッ ドッ ドッ ドッ、と高く脈打つ音が相手にまで聞こえそうな程鳴っているのが分かる。


気づくと白倉くんの顔がめちゃくちゃ近くにあって、私は
「わっ!」
と大きな声を出してしまった。

自分の声が、2人以外誰もいない相談室に鳴り響く。