シャワーの音を聞きながら、いまさら、沼田は自分の気まぐれに呆れていた。


他人なんか、信用しない。
気を許せば、噛み殺される。


他人に親切にしてもらった覚えもない代わりに、他人を信用した記憶もない。


それなのにどうして、気紛れにでも他人を拾って、自分の住み処にまで連れ込んだのか。

よほど、悪酔いしていたとしか思えない。



シャワーから出てきたタカヤの傷に消毒薬を振りかけた。


「ひゃあっ!」


タカヤは、まるで犬のような悲鳴をあげて、身を竦める。
シャワーで暖まったせいで、傷口からは血が流れている。


「痛いよう」
「ちっと我慢しとけ。腐ったら手間がかかんだよ」


痛がって身を捩りながら、それでもタカヤはじっとしている。


(こいつはもしかして、少し足りないのか?)