「え……?」


タカヤが、また、泣きそうな顔をする。


「え?じゃねぇよ。黙って抜け出してきたんだろ。せっかくやりかけた治療だ。ちゃんとそのイカれた頭の中から、クスリを抜いてもらえ。ここに帰ってきていいのは、それからだ」

「やっぱり、オレのこと、捨てるんだ」

「違うだろ。おめぇは病気だから、なおして来いって言ってんだ」

「あんなとこ、やだよう。ここにいたいよう」

「ふざけたこと言うんじゃねぇ!」


びくっ、と、タカヤが肩をすくめる。
そうして突然、タカヤは沼田に飛びかかった。


「おい、タカ……!」


タカヤの両手が、沼田の首にかかる。
馬乗りになって強く締め付けられ、沼田は軽くパニックになった。
なんで、こんなことになったんだ?
タカヤの手首をつかんで、引きはがそうとしながら、タカヤの顔を見る。
タカヤの、ひどく怯えた表情。


「やだよ、オレ、ここにいる!ヌマタさんとこにいる!金魚いっぱい売ってくるから、だから!」

「離、せっ!タ、カヤっ!」