いつも、タカヤを見るのはこの部屋だった。
外で会うことなんか、めったにない。

タカヤを売人として使っているから、外で会っても知らん顔をしたし、タカヤが他人として振舞えない分、なるべく会わない道を選んだ。

「行く場所としたら、ここ、しかないですね」

(もし沼田さんのところに高谷君が戻ったら、なんとか説得して、こちらに連れてきてください。今、また覚せい剤に戻ることは、体力的にも危険だ)

「わかりました」


電話を切り、沼田はひとつため息をついた。
電話している途中で、気付いた。

タカヤが帰ってくる場所は、ここしかない。