「おい、この頃、シノギが足りねぇんじゃねぇか?」


穏やかな口調で、男が言う。
沼田は、地面に膝をついたまま、俯いて、殴られた口元を拭った。
手の甲に、血が付く。
身体が震えるのを、止められない。


「すんません」
「おまえのシノギの腕には期待してんだからよ。今どきは、資金がなくちゃ下の者も来やしねぇ」
「来週には、上がりをお持ちしますんで」
「頼むぜ。ま、俺も気が短いからよ。悪かったな」


男がしゃがみこんで、沼田の顔を覗き込む。
強者の、余裕の笑い。


男の足音が聞こえなくなったところで、沼田は立ち上がった。