「いや、気にしませんよ」


何となくいたたまれない空気に、頭をかきながら、沼田は答えた。

初めて、萩に親近感を覚えた。

どうやら萩も、この純という青年に、振り回されているらしい。


「あー、ジュン、だ?」


ようやく。

タカヤが腑に落ちた、というように、声を上げる。

タイミングがずれすぎだっつーの。

青年が、タカヤを見て、にかっ、と笑う。


「よーやく思い出したか、この薄情もん」