苦手な人種だ、と、思う。
太陽の下でまっすぐ育った、正義感の塊のような目だ。
「ご用件は?」
まさか、警察のおとり捜査じゃないだろうな。
目をつけられるようなドジは踏んでいないつもりだが、叩けばいくらでも埃は出てくる身だ。
改めて、名刺を見直す。
萩 俊介。
東京総合病院の外科医、と書いてある。
医学博士の肩書きも付いているところを見ると、若いのにエリートらしい。
(ますます、俺らとは違う人種だな)
つばを吐きたい思いを、ニコチンのしみだした煙草のフィルターを噛んで、こらえる。
「沼田さんのところに、若者が一人、同居しているでしょう?」
「なんのことか、わかりませんね」
「高谷。名字しか、わかりませんでしたけどね。一晩、うちに泊まったことがあるんですよ」
あの、バカ。