図体ばかりでかくて、頭が弱くて。
カネもクスリもねだらないかわり、沼田に撫でられたり、話しかけられたりするたびに、気持ち良さそうに笑う。


利用するために飼っているのだと思いながら、情にほだされかけている。


それを自覚することは、沼田にとって愉快なことではなかった。


他人なんか、利用するためだけの存在だ。
人のために何かをするなんて、ばかげている。


そう信じて生きてきた、自分の生き方に逆らうような、思い。