「それで、ご用件は?」


沼田は、萩に媚びるような笑顔を浮かべながら、尋ねた。
堅気の人間には、とりあえず下手に出る。
意味もなく恫喝するのは、半端者のやることだ。


「入院費でも払えっていうなら、領収書をいただければ」

「いえ、入院したわけじゃありません。俺の部屋に泊まった、っていう意味です」


もしや、薬が欲しいのか?


一瞬思ったが、そんなはずはない、と、その考えを打ち消す。

麻薬を欲しい人間が名刺を渡すはずもないし、医者ならその気になれば、いくらでも上質な麻薬やコカインが手に入るはずだ。