卒業式が終わると波美に声をかけた



「あのね、波美!


今までありがとう!!」



「え?」



「ごめんね、言ってなかったんだけど



今日、アメリカに行くんだ。」




「嘘でしょ?」



「ごめんね、本当なの…


今までこんな私と仲良くしてくれて


ありがとう。



私、この学校に来る前の学校で



いじめられていたの。



そんなときに、事務所の社長にスカウト


されて、家も学校も捨てて


ここに1人で来たの。



私は、芸能界で居場所を見つけよう



それに必死だった。



だけど、波美に会って



2人とも忙しくてなかなか会えなかった



それに外で遊んだり



恋話もできなくて


修学旅行も私が忙しいせいで


一緒に行けなかったし



青春ぽいこと全然できなかった。」




「ううん、私は晴に出会えただけで


幸せだった。


晴は、正直で


確かにあんまり会えなかったけど


いじめられてたこともこうやって


話してくれた。



私も晴の支えになれなくて


ごめんね。」


波美は泣きながら言った。



私は波美をぎゅっとした。



「いいよ。


波美、辛かったよね?」



「え?」



「きっと、奏太くんと付き合ったとき


周りの人に色々と言われたり


いじめられてない?



奏太くんは、それに気づいてくれる


人かもしれないけど



奏太くんも忙しくてなかなか


助けを波美も求めれなかったでしょ?


それに奏太くんとも会う機会が


少ないからこそ


それを言えなかったと思うし



1人で抱え込んでいたでしょ?」



「う、うん


なんで分かるの?



晴こそ、そんな能力持っているん


じゃない?」



冗談を言いながらさらに



泣いていた。




「私、いじめられたことあるから


分かるんだ。



辛さもわかってるつもり。



なのに、今まで気づいてあげられなくて


言葉をかけてあげられなくて


本当にごめんね。



私、友達失格だね」





「そうだね」





え?



ええ?



そんなこと言う子だっけ波美って。



そんなに辛かったんだね。



「本当にそうだよ、



私、晴のこと友達じゃなくて


親友だって思ってたのにな…」




「あ、ごめんね!」



「いいよ!



ねぇ、晴


行かなきゃいけないところ



もう1つあるんじゃない?」



「あるけど、もう時間の」



「もう、出ないといけないの?」



「…うん」



「そっか、



じゃあ、行っておいで!晴


晴の実力アメリカに見せてきな!


ううん、世界に!!!」



「ありがとう波美!」



「私、応援してるから



何があっても晴の味方でいる!」




「ありがとう!


すごく心強い!!」




「何かあったら電話して


夜中でもすぐに電話に出て話を聞いて


あげる。


それにすぐに晴のところまで


助けに行ってあげるから」



「ありがとう、波美!



波美も頼ってね!」



「もちろん!」




そして私はタクシーに乗って


空港まで向かった。