―ピンポーン―

インターホンの音で目を覚ました私は携帯を開いて時間を確認する。

『10時、か…』

大きなあくびをしながら部屋のドアを開けると、旅行鞄を持った化粧ばっちりの茶髪の姉ちゃんが立っていた。

「あ、ども!」

『…どちらさま?』

起きたばかりとはいえ、さすがの私もこの姉ちゃんが梨菜だとは思えない。

「はぁ?梨菜だよ、梨菜。んじゃ、お邪魔しまーす」


自信満々にズカズカと部屋に入る梨菜を、私はただア然として見るしかできなかった。
梨菜は鞄を適当に放り投げると私が寝ていたベットに座り、なにやら携帯をいじり始めた。

『梨菜…?』

「んー?」

『随分…変わったね』

「そりゃあ何年も経ってるし」

半分笑いながら返事をする梨菜と、そんな梨菜を若干信じたくない私。
今日から奇妙な生活が始まると思うだけで頭が痛くなった…。