「やっぱりあたしたち友だちにもなれないね。
最初から合わなかったのかもしれない」


話せば話すほどにどんどん距離が遠くなっていく。

友だちでいるどころか、部員としてさえ良い関係を築けない。

思えば付き合っていた頃から一輝くんとは言い合いばかりだった。あの頃はお互い好きだったからなんとかなっていたものの、今となってはそれが悪い方にばかり作用する。


「最初から......?」


一輝くんの中でその言葉が引っ掛かったのか、眉を寄せてそのワードを繰り返す。


「そうですか、分かりました。
結局俺は......最初から、今までの男と同じだったんですね。俺だけは特別だと、先輩の言葉を信じた俺が馬鹿だった」

「なに、それ......。
被害者面しないでよ。
確かにあたしは一輝くんを傷つけたけど、一輝くんのことが心から好きだった。不幸なことが重なって、結果的に上手くいかなかっただけ。

あたしだってそう納得したし、一輝くんだってそう納得したでしょう?」


一輝くんを傷つけたあたしが悪いの?
それともあたしを傷つける一輝くんが悪いの?

答えなんて永遠に出ないのに、それでもあたしたちは不毛な言い争いをやめることができない。

一輝くんのよく日焼けした肌に流れる一滴の汗を見ながら、ただあたしは一輝くんを責め続けた。