さわやかくんが去っていった後も、真顔のまま眉ひとつ動かさない一輝くんに小さくため息をつく。


「やめてもらえる?
フツーに話してただけなんだけど。
完全に引かれてたじゃん」

「俺だって普通に話してただけです。
関係ない人まで巻き込むのはやめてください。
何であんなこと言ったりしたと?」


そりゃそうだ。

やり返してきた一輝くんだって同レベルと言えばそうだけど、どっちが悪いかと聞かれたら、間違いなく最初に仕掛けたあたしが悪い。


「何でって、それはその......」


だけど、何でと言われるとはっきり答えることができず、曖昧に言葉を濁す。

よく分からないけど、イラッとしたから。
ムシャクシャしてたから。

色々考えてはみても、そのどれもがあたしのしたことのワケを現しているようで、ぴたっとは当てはまらない気がする。


「俺のこと好きなんですか?」


今朝と同じく心底迷惑そうな顔でそう聞いてきた一輝くんに、胸がぎゅっと痛くなる。

そんなイヤそうな顔しなくてもいいじゃん......。