「それなら良かった、今日は暑いですね」


青いユニフォームがよく似合うさわやか男子は、不審者のあたしにも引くことなくフツーに世間話をふってくれたので、そうですねと笑顔を作る。


「何年生ですか?」

「三年生です」

「だったら俺と同じだ。
星が丘って髪染めたりしてもいいの?」


タメと分かると急にタメ口になったさわやか男子は、あたしの染められた髪を指す。

前まではほとんど金だった髪を、三年になってからは暗めの茶髪に染め直した。

校則ではオッケーなんだけど、成田先生からマネージャーなのにさすがにハデ過ぎるって注意されたのもあったし、自分でもそれはちょっと思ってたしね。


「うん、うち校則ゆるいから。
春までは金髪だったんだよ」


今日は胸元まである髪をゆるく巻いて耳元でふたつに縛ってきた。その片方をくるくるいじりながら、さわやか男子に笑顔を向ける。


「そうなんだ?金髪マネージャー新しいね」


あたしにしてはだいぶ大人しめになった方なんだけど、校則厳しいとこからしたら、これでも十分ハデなんかな。


このさわやかくんも、あたしが金髪だったと知ってちょっと驚いてるみたいだ。

そういえば、暗めに染めてからは前よりも男に声をかけられる回数が増えた。駅とか道とかで。

やっぱ金髪は声かけづらいんだよね、きっと。