それから、長い長い時間が過ぎて、ようやく走り込みを終えたみのるに、おつかれと声をかける。

外周してきた後でも大して息を切らしてないみのるは、なにやら複雑な表情を浮かべていた。

まるで、ゴチャゴチャとよけいなことを考えていたあたしと同じような。


「ごめんっ!」

「な、なに、とつぜん」


突然に、部活が始まる前の一輝くんみたいな大きな声を出してきたみのるに心臓が止まりそうになる。


「この前の、あれから反省したんだ。
にっしーとはこれからもずっと友達でいたいから、あんな形で付き合いたくなかったから、ああ言ったんだけど......。

にっしーにあんな偉そうなこと言える人間でもないくせに、変なこと言ってごめん」

「そんなことない。
むしろはっきり言ってくれて助かった。
あのときのあたしおかしかったし、みのるに失望されても仕方ないよ」


あやまる必要なんてどこにもないし、あやまらなきゃいけないのはあたしの方。

借りたグラコンを脱いで返そうとするけれど、今日は使ってていいとまたも突き返された。


「失望なんてしてない!
にっしーはちょっと弱ってただけだ、誰でもああいうことあるよ。僕なんて今まで何回もそういうとこ、にっしーに見られてる」

「......ん、だね」


真顔のみのるにあたしも小さくうなずく。