ひどい顔。

女子トイレの鏡に写ったノーメイクの顔は、もともと色が白いうえに、冬だからますます血色が悪いことになってる。さらに唇に色もないから、顔色悪すぎ。


......よし。

カバンの中から、携帯用のコードレスのコテと、化粧道具がパンパンに入ったビビッドピンクのポーチを取り出す。


まずはコテを持ち、友達がサイドにしてくれた編み込みを避けて、いつものようにクルクルと巻いていく。

それが終わったら、次はベースメイクをしてから、アイメイクとチークを塗って。

さらに、つけまをつけて、まつげをバッサバサにして、最後は透明のピンクのグロスをたっぷりつけると、変身完了。





格好が変わるだけで、気持ちまで変わってくるから不思議。


鏡の中にいたのは、男にフラれたみじめな女じゃなくて、いつもの西川みどりだった。