家に帰って勉強する人も多いだろうし、試験前といっても、図書室の混み具合はいつもよりも少し人が多いくらい。


空いている席を探していると、隅の方の目立たない場所の本棚にいる背の高い男と目が合う。

一輝くん......と、内巻きボブ。


「一輝くん、カフェで勉強しない?」


内巻きは位置的にあたしに気づいてないのか、一輝くんにまとわりついている。

いつの間に一輝くんとか呼ぶようになってんの?


「他のみんなは何しようと?」


そんな二人をじっと見つめていると、一輝くんはスッとあたしから視線をそらした。


「二人でいこうよ。
ねぇ、あの人とはもう別れたんだからいいよね?」


一輝くんがそれに何て答えたのかは分からない。

聞きたくなかったし、一輝くんが何か答えるよりも前に、図書室から出てきたから。