「最終確認ね?」


部室の置時計をみれば、もう8時20分。
部活は9時からだから、そろそろ誰か来てもおかしくない時間だ。

念のため、結論を確認しておこうと、真顔でうなずきあう。


「あたしたちはこれからも?」

「ともだち」

「昨日あたしたちの間には?」

「何もなかった」

「何もなかったって、なんのこと?」


え?

最終確認をしていると、後ろからあたしたちのものではない声が聞こえてきて、パッとふりむく。


「理穂。......と、一輝くん。
特になにも?たいしたことじゃないの」


部室の入り口から入ってきたのは、理穂と一輝くんで。
理穂はともかく、一輝くんまでいたのは、さっき話してた内容が内容なだけにかなりあせる。

おはようといつものように普通に挨拶する理穂と、あたしとみのるを不審そうにみている、いつもとは少し違う一輝くん。


......聞かれてないよね?さっきの話。

理穂はフツーだし、大丈夫だよね。
もしも聞こえてたら、いつも通りじゃないはず。


「みのるありがとうね!ボール直すの手伝ってくれて!」

「う、うん?全然!これくらい!」


取り繕うように、自分の机の上に置いてあった、直しかけのボールがたくさん入った箱を指差す。

ちょいわざとらしすぎた?
とっさに話を合わせてくれたみのるに感謝。