「昨日はごめん。
二人の間に割り込めるとは思ってなかったし、にっしーと同じくらいに一輝のことも好きだし、大切なんだよ。
だから、気持ちを伝えるつもりも、一輝を裏切るつもりもなかったのに、昨日はどうかしてた」


翌日の日曜早朝、部活が始まる前の部室。
昨日のことを話し合うために、またみのると二人で会っていた。

いつもは学校に行くときも帰りも一輝くんと一緒だけど、今日はテキトーに理由をつけて、それも断って。


「よし、みのるの気持ちは分かった。

じゃ、こうしよう。
昨日のことはなかったことにして、忘れるの。
一輝くんにはあたしたちが黙っとけば、みのると一輝くんはこれからも変わらずに友達でいられる。

それでいい?」

「そうできれば一番いいけど......。
さすがにそれは都合が良すぎるよね。
にっしーのことも、一輝のことも傷つけておいて」


本当にごめんと、暗い表情で、今日何度目になるかも分からない謝罪を口にしたみのる。

もう三十分も前から話し合ってるのに、同じことの繰り返しで全く話が進んでかない。

みのるが申し訳ないと思ってる気持ちは十分伝わってきたけど、なんか段々イライラしてきた。


「あー!だから!もう!
そんな何回も謝らなくていいってば!

昨日は知らなかったとはいえ、あたしも煽るようなこと言っちゃったし、みのるの気持ちに気づけなくて、今までいっぱい傷つけてきたと思う。

だから、お互い悪かったってことで、いいんじゃない?」


何回も気にすんなって言ってんのに、それでもしつこく何回も何回も謝ってくるもんだから、いい加減腹が立って、ついつい声を荒げてしまう。