そんな私の予想は大当たりだったようで。
「…ない」
次の日、教室に行くと置き勉しておいた教科書が机の中からすべてなくなっていた。
クスクス、高い嘲笑う声がした。
なんでこんな面倒なことするかな。
教科書なくても勉強できないことはないけど。
考えているうちに授業開始のチャイムが鳴ってしまった。
……仕方ない。
キョロ、と辺りを見回す。
チームの方で忙しいのか、はたまたサボりなのか、今日はまだ樹里の姿がない。
悪いけど、ちょっと借りる。
心の中で詫びながら、樹里の机から次の授業の教科書を取り出す。
「なっ……」
想定外だったのか驚いたように声をあげた女達を無視して席に座ると、タイミング良く先生が入ってきて授業が始まった。
授業中だけどガヤガヤうるさい教室。
ところどころ席が抜けている。
真面目に授業を受けている人は数人いるかいないか。
そんな中でも私はいつも授業をちゃんと受けているのを知っているから、教科書を隠されたんだろうなと一人考える。
じゃなかったら教科書がなくなったって特に支障はないだろう。
テスト前に困るかもしれないけど。
そんなことを考えながら、樹里の教科書を借りることで無事その日の午前の授業は乗り切れた。