「ちょっと来て」
先頭のリーダーらしき女が顎をクイ、とついてこいと合図をするけど、その行為が不愉快で更に眉根を寄せて
「用があるならここで言えば?」
「なっ…」
「私、早く帰りたいし」
「……」
「もしかしたらここじゃ話せないこと?」
無表情のまま女達を見ると、ギリッと唇を噛んでチラッと辺りを見渡している。
まだ授業が終わったばかりだから結構人数もいる教室。
幸いにもまだこちらに気づいている人達はいないけれど、ここで揉めていたら注目を浴びるのは間違いない。
「っ…覚えときなさいよ!」
それがわかったのか先頭の女が人睨みして教室を出て行ったら、他の女達もそれに続いた。
ハア、とため息を吐く。
この場だけ乗り切ってもあの女達が何もしなくなるわけじゃない。
かといって、あそこでついていってもそれは避けられない。
どっちにしろ厄介なことに巻き込まれてしまった。
……絶対、面倒なことになる。