「……わかんない」
ふにゃりとした声が喉から出た。
本当は朝方までずっと公園で待ってるから、一睡もしていない。
でも、それを言ったら樹里から怒られることは目に見えている。
それに、余計な心配をかけたくない。
「……いい加減、学校休んで1日ゆっくりしなよ」
少しの沈黙の後、ね?と頭を撫でながら困ったように言う。
本当はそうしたくて仕方ないけど、家にずっといたらいつ親と鉢合うかもわからないし、この調子じゃ朝方まで眠るのがわかっていてできなかった。
「んー」
頭を優しく撫でる手が温かくて気持ちいい。
曖昧な返事を残したまま、私はいつの間にか眠りに落ちた。
「……無理しないでよ」
寂しそうに呟いた樹里の言葉が誰にも届くことなく消えた。