「シロ、行くよ」
午前の授業が終わってもまだ机に突っ伏している私に、樹里が心配そうに声をかけてきた。
「ん」
立ち上がって教室を出る。
「……昨日のあれ、迷惑だった?」
一緒に購買に向かっていると、眉を下げて私のことを見る樹里にそれは違う、と首を振る。
「うさぎ、嬉しかった。ありがとう」
「ほんと?」
「ん」
「…あ、もしかして、わざわざそれ言うために学校来たの?」
「……」
黙り込んだことを肯定とみなしたのか、嬉しそうにニコニコと笑う。
「シロ、可愛いー」
「……」
「女の子が睨んじゃダメ」
プイッと顔を背ける。
「もー」
しょうがないなあ、というように笑う。
「あ、ほら。購買ついたよ」
目の前の光景に眉をひそめる。
「……これ買えるの?」
着いたのはいいけど、人集りができていてみんなお昼ご飯を得るために争っている。
たぶん、私達が買う前に全部なくなるんじゃ……。
「だいじょーぶ」
そんな私の考えを無視するように、樹里が人集りへ向かって行く。