「シロ来なかったら僕のお昼休みの楽しみがなくなるとこだったよ。今日のお弁当の中身何ー?」
悪気もなく笑う姿にお弁当が目的か、と呆れる。
そういえば、
「持ってきてない」
「え?」
「お弁当」
そのまま出てきたから作ってきていないし、お弁当の存在に今気づいたから何も買ってない。
「えー」
むうと頬を膨らませた顔。
そんな顔されても困る。
「あ、じゃあ、今日シロお昼ご飯ないの?」
「そうなる」
「そうなるって。お昼抜いたらお腹すくでしょ?僕のパンあげるよ」
「いらない」
フルフルと首を振って、机に突っ伏す。
「シロ、何かあった?」
そんな私の様子をおかしく思ったのか、上から心配そうな樹里の声が降ってくる。
「なんで」
「元気ないから」
樹里はやっぱりどこか鋭い。
「何も」
「嘘」
「何もない」
「……じゃあ、何もないんだったら、後で一緒に購買行くよ」
「……」
「シロ」
少し強くなった声に渋々頷いた。