「おはよう。潤っ!」

「おはよ…」

低血圧な俺に元気よく向かってくるのは

俺の好きな女。佐々木恋華。

「相変わらず低血圧ですね〜?真田潤くんはっ!…廣くんとは大違い!」

彼女のいう廣くんとは俺の兄貴のこと。


可愛い顔で、残酷なことを言う。

「一緒にすんなよ。兄貴と。」

「えー?結構似てるのに!」

じゃあなんでお前は兄貴を選ぶんだよ。

なんで俺じゃダメなんだよ……。

「似てねえし…」

「似てるってば〜…!あ、今日ね、お母さんがおばさんと外食行くって言ってたから…うちでご飯食べない?」

おばさんとは俺の母さん。

俺と恋華の家は隣同士。

母さんと恋華の母親は、とっても仲が良く、よく子供をほって外食に行く。

その時は俺と兄貴と恋華で食事だ。

「廣くんは今日バイトだから、潤が買い物付き合ってね?」

「…は…?」

兄貴と会うのが…望みだったんじゃないのか?

「は?って何よ。嫌なの?」

「いや、行くけど…兄貴いねえの?」

「自分のお兄ちゃんなのに聞いてないの?…今日は私と潤だけお留守番だよ?」

こんなに嬉しいことはあるだろうか。

毎回毎回、兄貴の横で幸せそうな恋華に胸を痛めた。

「じゃ、帰り…買い物ね!」

「終わったら…迎えに行くから待ってろ」

「はいはい〜!」