「つべこべ、うるせーな。」



皐月はそれだけ言うと、自転車から降りた。



……ふぅ、良かった。これでやっと学校に行ける。



と、思ったのもつかの間、突然私を抱き抱えて強引に荷台に乗せた。



本当に突然の事で抵抗する隙もなく、あっさりと。



「しっかり掴まってろよ」



皐月が、そう言った瞬間すごいスピードで走る自転車。



「ちょっと、速すぎ……!落ちる……!」



夏の暑い日なのに、風があたり過ぎてそれを感じさせない。
髪が風になびく。