でも、二人は気付いていない。



『っ……くそっ……』



俺は、傘もカバンもさっき買ったジュエリーショップの袋もその場に置いて、頭で考えるより先に走り出した。



ピカッ、と車のライトが二人を照らしたことで、

自分たちの方に突っ込んで来ているとやっと気づいた二人。



俺は躊躇なく二人と車の間に庇うように入った。



……その時の事はよく覚えていない。


だけど、ただ痛かった事と、永遠の、


『さ、皐月っ……!皐月!!』と言う声が聞こえた事だけは覚えている。