「ばーか。お前が選んでくれたってだけで嬉しんだよ」
___どきっ、
本当どこまでドキドキさせれば気が済むんだ。
私の心臓の音と、なっちゃんの包装を破る音しか聞こえない。
「……どう?似合う?」
なっちゃんの言葉に顔を上げると、腕に私のあげた腕時計がついていた。
「うん、似合うよ」
「大切に使わせてもらう。ありがとな」
なっちゃんは、私の頭をくしゃりと撫でた。
「……じゃあ、今日は遅いし、もう帰るね」
目的のなっちゃんに誕生日プレゼントを渡す事も出来たし、6時を超えていたのでイスから立ち上がり、なっちゃんにそう伝える。
扉の前でなっちゃんに手をふり、病院をあとにした。
帰りのバスは、なっちゃんのことと、
何故か皐月の送り出してくれた時の悲しそうな顔が脳裏に浮かんでいた。